Breakfast in America

初めての海外はアメリカだった。

高校一年生の夏休み、多分部活は夏合宿だけ参加して、後はサボったのだと思う。

生まれ育った立川にはロスアンゼルス郊外にサンバナディーノという姉妹市がある。

そこからの交換留学生を受け入れていた縁で、僕もあちらにホームステイすることになった。

その前に数日間、サンフランシスコに1人で行ったのだから、今考えれば大した心臓であった。

サンフランシスコと言えば、ケーブルカーに乗り、多分ゴールデンゲートブリッジも見たと思うのだけど、実はその辺のことはほとんど覚えていない。

覚えているのは、フィッシャーマンズワーフで食べたクラムチャウダー、巨大なハンバーガーなど食べ物のことばかりなのである。

強烈に覚えているのは、サンフランシスコに着いた翌日、朝ごはんを食べようとホテルの向かいあたりのダイナーに入った時のこと。

カウンターの上に貼ってあるメニューに写真が載っていたパンケーキとベーコンエッグのプレートがとても美味そうで、それを注文したいのだけれど、これが通じない。

何と言っても、英語なら「パンケーキ」も日本語だと「ホットケーキ」

それをホットケーキと注文するのだから、通じるわけがない…

それでも、拙い英語(今ならば、出川イングリッシュと言うのであろうか?)最後はイスに乗って、メニューの写真を指差して注文したような気がする。

苦労して頼んだ大量のバターが乗り、メープルシロップをドバッとかけたパンケーキ、そしてカリカリのベーコン

大カップに入ったオレンジジュースと薄いコーヒー

なんだかやけに美味かったのは、言うまでもない。

高校一年生のアメリカ3週間の夏は、そんな朝飯で始まったのであった。



胃袋の記憶 - Ibukuro no Kioku

これまで50近い国や地域を訪れてきた。 色々なところで、様々なものを観たり、聞いたり、体験したりしており、それらは全て僕の一部になっているはずなのだけど、細かいことは覚えていない。 「胃袋の記憶」とでも言えば良いのだろうか、不思議と思い出すのは各地で食べた食事のことばかりなのである。

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